欧米語の代表として英語を習う時、be動詞と対応するぴったりとした日本語動詞が無いことに戸惑いを感じます。英語の動詞を分類するとき、日本語から眺めると、be動詞と、それ以外の普通動詞の二種類です。「です・ます調」は「〜です」がbe動詞に当たり、「〜ます」が普通動詞の連用形を受ける形で使います。例えば「行きます」のように使います。「イ形容詞」は活用があります。書き言葉では、「イ」で終える文体も使えますが、話し言葉ではぶっきら棒に聞こえます。それを避ける工夫の一つとして、例えば「美しいのです」と繋ぎます。小学生の話し方には、「美しいです」の言い方を許しています。一方、「である調」は、書き言葉に使うことを前提としています。夏目漱石の「我が輩は猫である」は、"I am a cat." と対応し、「である」がbe動詞に当たります。一般動詞と形容詞の終止形は、声に出すときは、そのまま読み上げます。しかし聴く側が受ける印象は、「演説調」です。例えば「美しいのである」「行くのである」の言い方を使いますので、対話に使うには硬い文体です。言文一致の文体の歴史は明治時代に始まったのですが、現代でも未だ模索の段階です。Be動詞は、上の項で説明した定義文の使い方の他に、「居る・在る・生きている」などの意義で使います。「There is …, Here are…」は標準の主語・述語の構文とは違います。シェークスピアのハムレットに出てくる有名な句「To be or not to be. That's the question」の意味はパズルのように受け取られています。ビートルズの歌に「Let it be」もピンとこない英語です。これらに、無理して理論的な解釈を考えるのではなく、そのような言い方がある、と感覚的に捉えます。 |