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10. 英語と日本語の文構造

10.1 標準語の提案


10.1.6 漢字熟語の名詞利用で起こる欠点

 漢字の利用は、利点も欠点もあります。欠点の一つは、和語での説明が必要になることです。本格的な日本語の辞書の最初は、大槻文彦(1847- 1928)の言海です。これには、和語だけでなく、日本語化して音で知っている漢字熟語の説明が載っています。新村 出(1876-1967)編の広辞苑は、元が欧米語で、日本語化したカタカナ語も含みます。どちらも、音読みの漢字熟語を一般庶民が理解できるように和語の説明があることが特徴です。上の例文で示した漢字の「李」と「桃」とを辞書に載せるときは、どのような物かの説明または定義が必要です。この種の辞書はイラストも使い百科事典(encyclopedia) の性格があります。英語ではglossary(用語辞書)です。漢字熟語に和語を追加して言い換える重複文には、俗に、下のような例があります。

  いにしえ(古)の、
   昔の武士の さむらい(侍)が、
    馬から落ちて落馬して、
     恥をかいて赤面し、
      腹を切って切腹した

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