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10. 英語と日本語の文構造 |
10.1 標準語の提案 |
10.1.2 標準の日本語の提案も必要 |
日本語の話し方と書き方は、小学校からの義務教育が定着して一応の標準があると思われています。しかし、実情は複数の習慣が混在しています。書き言葉の文体、例えば「である調」と「です・ます調」の違いがあります。意味の上で正しい言い方の標準を提案したいのです。これは、日本人が英文の意味を日本語で理解したいとき、従来から苦労している課題です。パズルを解読するような経験をしてきました。一方で、英語のnative speakerが日本語を覚えて、英語の立場から見て、日本語で正しく言いたいときの提案が見られるようになりました。例えば、下の5通りの英語は、日本語ではどれも単純に「犬が好きだ」で済ませますが、英語では意味の違いがあるからです。 @ I like a dog. 「あの犬が好きだ(名前は分からない)」 A I like the dog.「(前に言った)あの犬が好きだ」 B I like the dogs. 「(前に言った)あの犬たちが好きだ」 C I like dogs. 「犬(と言う動物)が好きだ」 D I like dog. これは「犬の肉が好きだ」と誤解します。 (マーク・ピーターセン;光文社、2010より) 日本語の言い方での意味の違いは、犬を眼の前に見ている会話の環境では紛れないのですが、話し言葉、または書き言葉を単独に使うときは、文の前後に説明を追加しなければなりません。上の例では、ゴシック体と括弧()で括った説明を読み比べて下さい。現実の場面では、説明が無くても判ることが多いのです。「それはなぜか」の理由は、近年の構造言語学を応用するようになって、具体的に説明が付くようになってきました。最も実用的な言語として、コンピュータのプログラミング言語が幾つも提案されるようになりました。それらのコンパイラ(翻訳プログラム)の作文規則は、統語論と意味論を踏まえます。プログラミング言語は人工言語です。この作文規則を、日常言語を使う実用文書の作成でも、意識的に応用することが提案できます。これが、この節で言う標準語の提案です。 |
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