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8. 作文希望と教育指導

8.3 教育そのものについて


8.3.4 知能・知識・知恵は違う概念である

 教育の主目的は、知識を覚えさせることにあるのですが、初歩から高度の内容まで繋がる筋書きが必要です。このとき、教育効果に個人差があることを考えに入れます。習う側の「頭が良い:wise」と「賢い:clever」とは異なった概念です。この区別は、コンピュータを利用するようになって、明確に定義できるようになりました。コンピュータを擬人化して「頭が良い」と言うことは、CPUの機能が高いことと、メモリ容量が多いこと、つまりハードウエアの機能に対応します。賢さは、ソフトウエアの良い・悪いに対応します。川柳的に「コンピュータ ソフトが無ければ 只の箱」と言うのはこの関係を言います。目的に合った賢い使い方を工夫するのは、人の側の知恵(wisdom)です。人の場合、失礼ながら頭の良い悪い(知能)は、本人の責任ではなく、両親から受け継いだ遺伝形質です。これに対して、賢さは本人の獲得形質です。ただし、賢さには、「悪賢い」「ズル賢い」などの区別があります。賢さを良い方向に応用するには、徳育が必要です。知育の効果を測る標準的な方法は、コンピュータで言えば、そこにあるデータを適切に引き出して利用できる知恵が大切です。知恵は、教育を介して覚えるだけでなく、本人が経験して納得する過程も大きな要素です。

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