単純に教育と言うときは、(intellectual education) 知育を指します。これに体育(physical education)と徳育(moral education)とを含めます。戦前の義務教育の科目には修身がありました。これは、徳育に当たる教科でしたが、敗戦後は、民主主義に反する内容に偏っていたとして、教育項目から一旦外されました。しかし、修身に代わる徳育の教科は必要ですので、1950年になって道徳として復活しました。筆者の私見を言えば、道徳本来は自己修養的な素養です。そのこともあって、客観的に教育効果を判断する基準がありません。武家時代、文武両道が武士階級の素養でした。これは、知育(文)と体育(武)とに当たります。武士階級は、武器を持つことが許されると同時に、それを安易に使うことの歯止めとして、徳育としての武士道が不文律でした。徳育の素養のない武装集団が、「やくざ」や「盗賊」です。軍隊は武装集団ですので、これが暴走しないようにする規則に徳育が必要です。しかし、軍隊は、矛盾するようですが、破壊と殺戮とを目的とした集団です。その目的を正当化するためには、正義の旗印を必要とします。戦前の教育では、それに愛国心を挙げていました。現代でも愛社心を正当化する形で現れますが、排他的に相手を敵視する行動に繋がる危険があります。最も穏やかな徳育は礼儀と行儀とを教えることです。日本語では躾です。 |