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8. 作文希望と教育指導

8.1 作文の計画


8.1.4 長となった人が書くべき日誌

 役所機構に代表されるような企業組織(システム)は、人の集合に階層的な序列を設け、階層ごとに長の職分を決めます。掛長とか部長という名称がそうです。長の下位にいる人は。仕事の分担が決められています。これを分掌といいます。英語はdutyですので義務とも言います。排他的な性格があって、与えられた仕事をする義務はありますが、別の人の分掌には手を出さない、または出してはならないことも決めます。そのように決めておかないと、システムが暴走する危険があります。軍隊は武器を持った組織ですので、個人が勝手な行動をしないように制御を厳しくします。役所の仕事も庶民から見て融通が効かないという不満がある部局は、分掌に忠実であるという意味からは、非難するよりも表彰に値します。組織の長は、例外に対処することが多くなりますので、それを日誌などの記録に残します。これは義務として課せられるのではなく、一種の不文律です。従来の常識は、長たる人の素養ととらえていました。長の職務を次の人に引き継ぐとき、この記録を後継者に渡すことが一つの儀式です。いつも自分で日誌を書くことができない場合がありますので、それを代行する書記や秘書を組織として制度化することもします。企業が設ける庶務課とは、雑用を扱う部局です。一時期「何でもやる課」と名前を付けた役所の窓口が市民に好感を持たれたことがありました。

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