相手に理解してもらう文書を実用文書と括ります。ビジネス文書とも言います。詩歌、小説など、情感を扱う文芸書の対極に分類します。多くの場合、相手に何かを通知、要求、さらに業務上では命令する目的を持ち、写し、または控えを残し、相手からの応答を期待します。その代表は手紙です。ただし、私信は、控えを残すことをしません。手紙の実物は、相手に渡りますので、それが保存されていて発見されると古文書として扱われることがあります。日本語は、文法上、英語にあるような命令文の形式がありませんので、中身の書き方の苦労があります。書店に並ぶ実用文書の書き方を扱う書物の殆んどは、手紙の書き方を題材としています。その相手に、自分自身を含めることもあることに注意します。社会活動の場では、データを保存して残す場所(アーカイブ)を設けておくことで文化遺産が後世に引き継がれます。一般的には博物館がそうです。保存を目的とした文書の作成は多様です。これらの文書は、事実の記述が主題であって、情感や意見を含ませません。小学校の作文教科は、「思ったことを書きなさい」と指導して生徒の意欲を引き出すことをしています。卒業などの節目に文集を編集することも習慣になっています。企業でも似たような文集、記念誌を多くの人の寄稿で編集することも見ますが、私的な情感の内容が多くなることと、都合の悪いことは残しませんので、アーカイブとしての価値には適さない場合が多いものです。実用文書に当たるものには、手紙の書き方と同時に、口頭も含めた挨拶の言い方があります。これらは系統だった指導をしませんので、社会人として就職活動をする年代になっても、話し方と書き方を弁えていない人が増えました。 |