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7. 文章構成の学問的な扱い |
7.5 言語教育の光と影 |
7.5.3 小中学校の作文教育は偏りがあること |
自分の思い(意見と感想)を作文し、それを読んで認めてもらいたいとする文書の代表は、文芸作品です。古事記(712年)は日本最古の歴史書とされますが、記録文学の性格もあります。日本の庶民文学の代表は短歌です。万葉集は、最古の和歌集であって、天皇、貴族から下級官人、防人などさまざまな身分の人が詠んだ歌を4500首以上も集めたもので、成立は759年以後とみられています。小学校中学校では国語科の単元の一つとして「作文」があります。以前は綴り方と言いました。作文の中身は、個人的に思ったこと、つまり感想を書かせることに偏っていて、学問世界や社会活動で必要としている、客観的で論理的な作文技術を教えていません。感想を書いた文集は、他の人に読んでもらい、さらに、誉めてもらうことに個人的な喜びを感じています。これは小中学生だけでなく、年代を越えた普遍的なところがあります。読まされる側は迷惑に感じることも少なくありません。 |
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