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7. 文章構成の学問的な扱い

7.2 欧米に学んだ日本語の言語学


7.2.4 構造言語学の解説

 構造言語学の学問的な方法は、分析(analysis)と総合(synthesis)です。文を分析するとき、文字並びを単語単位に分けます。実用されている辞書は、単語の機能分類を品詞(part of speech)で区別します。逆向きに、単語を並べて文の形に総合するときの規則も調べます。個別の語が持つ名前、その意味、発声の約束などを捨象して、語の並べ方(構造)の規則に注目します。これが統語論(syntax)です。そうすると、統語論的には正しくても、意味を成さない文の区別ができません。意味の正しさを分析することを意味論(semantics)と言います。例えば「猫は動物である:動物は猫である」の二つの文は、名詞として猫と動物の二つを使っていて、その位置が入れ替わっています。統語論的にはどちらも正しい文として扱うことができますが、意味論的には後者の文は誤りです。この二つの解析方法は、コンピュータのプログラミング言語を作文するときに厳格に吟味する項目になりました。

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