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6. 書物の体裁と保存

6.3 文書管理の実際


6.3.3 文書は保存と廃棄の区別を考える

 企業の顔で発行する文書は、控えをその企業の責任で残します。永久保存扱いがアーカイブです。通常、ある期限を決めて保存し、その期限が過ぎたものは廃棄します。いつも巧く機能するとは限りません。その企業が消滅すると、そこでの資料は全滅します。これが文化的な損失になることもあります。逆に、外部からの文書を受け取る側は、選択的に資料を保存します。そうでないと、ゴミの山ができます。この切り分けが整理であって、悩ましい問題です。整理法が分からないとき、一時的に保存をする場所を決めておいて、適当な時期に見直して保存か廃棄かの判断をします。その方法を筆者は乱れ籠方式と言うことにしています。パソコンのファイル管理では、一時的に「ごみ箱」フォルダーに移されます。うっかり削除したファイルでも、ごみ箱に残っていれば復元ができます。このごみ箱の使い方が、乱れ籠方式です。適当な見出しを付けた複数の乱れ籠を準備しておいて、適当な時期に中身を検査します。一年に一度、中身を調べて整理するものの例に、年賀状があります。宛名書きに使う名簿は新しいものが来しだい、古いものは廃棄します。しかし、古い名簿を保存しておくと、歴史資料としての利用価値が生まれるのが面白いところです。

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