目次ページ  前ページ  次ページ

6. 書物の体裁と保存

6.3 文書管理の実際


6.3.2 品質保証の規格化

 何らかの生産活動をして製品(ハードウエア)やサービス(ソフトウエア)を供給する側の企業は、品質管理を重要課題にします。製品やサービスの概念には、工業だけでなく、あらゆる部門を含みます。この連載と関係のある印刷出版活動も含みます。製品の品質だけでなく、製品の開発・生産・流通するための各工程や経営者の社会的な責任、品質管理を継続的に維持・改善するための要求事項など、その全体を規格化するように進んできました。これが、ISO 9000品質マネージメントシステムです。供給側は、このISO規格を採用していることを企業の顔に加えることが増えてきました。規格名はカタカナ語が入りますが、元にする英語はquality management systems、漢字を当てると品質管理組織です。英語ではsystemsと複数形を使っていることに注意します。単数形のsystemは、幾つかの部品要素を集めて一つの機能を持たせる集合名詞の意義があります。このシステムを複数束ねたと言う意義で、複数形を使います。この用語は、部品の集合だけでなく、人の集合組織も含むことを理解しておきます。このISO規格の歴史は古いのですが、2000年以降に大きな改訂が始まって、眼にすることが多くなりました。品質検査の内容は専門ごとに多様です。供給側の企業がJISを満たしていることを検査することが適合性試験であり、それを代行し、かつ合否を認証する第三者機関があります。試験の内容はかなり難解ですが、その中に文書化の要求事項も含まれています。そこでは一般論しか書かれていませんので、より具体的な手引きが必要です。この筆者の連載は、その文書化の部分を解説していると理解して下さい。

前ページ  次ページ