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6. 書物の体裁と保存

6.2 文書の内容によるページ区分


6.2.2 用紙と綴じ

 用紙の質と綴じ方、そしてページ番号の付け方は、文字の縦書き・横書きと連動しています。古い時代に製作されてきた日本の書物は、和紙を使い、ほぼB5版、縦書き、右から左方向に列を並べ、右綴じです。和紙は紙質が薄いので、半紙片面に印刷し、それを真ん中で折って袋綴じにします。現代でも、一般的な読み物の製本は、右綴じです。英文を混ぜる場合、英字の部分を横向きに挿入する、などの苦労をしているのを見受けます。欧米の書物が横書き、左綴じであることが一種のカルチャーショックであったように、欧米で発行されている、例えば日本の漫画本が右綴じであることは奇異に受け取られていました。日本では、科学技術系の図書は、横書き・左綴じが普通になりました。縦書き、右綴じの場合であっても、横書きを部分的に組んで混用している場合もあります。新聞がそうです。横書きであっても、右から文字を並べる方法はアラビア語です。日本でも、石碑の見出しなどは右から文字を並べます。敗戦前までは、絵葉書の説明文などに右から書いたものが多く見られます。縦書きの書で列数が増える場合、綴じる方式の他に、巻物にすることや、交互に折り畳んで仏教の経典のように作成することもあります。

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