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5. 図形と字形の作成

5.4 文書間の変換と安全管理


5.4.2 表示方法違いの文書も作成する

 鉛の活字を使って印刷物を作成していた時代、ページ単位の版にすることは手間が掛かりました。文学作品などは、最初に雑誌に発表され、次いでハードカバー付きの書籍で販売され、ソフトカバーの新書版や文庫版も見られます。さらに電子出版は、版をグラフィックス化します。これらのすべてについて、文字並びが著作権の対象です。版のスタイル違いによる出版は出版権の問題です。科学技術文書は、学術雑誌に発表されるか、最初から単行本とすることが普通でした。1990年代から、情報化時代に対応する電子出版を考える時代になっていました。しかし、日本の学術団体の対応は鈍いものでした。その理由は、自前の出版ビジネスが充分な利益を上げていたからでした。この構図が、近年、急速に変化してきて、新しいビジネスモデルを模索しなければ経営が破綻する事態にすらなってきました。筆者は、この動きを予測し、その先取りとして、三種類の発表形式を試してきました。第一が雑誌に載せるハードコピーのスタイルです。これは、検索を可能にし、著作権を宣言する目的があります。ただし、私家版は、公的な検索手段がありません。第二が、そのワープロ原稿をPDF版にしてインターネットで公表すること、第三がWEB版であって、内容を分割し、丁寧な索引とリンクを張ってランダムにアクセスできるようにしたものです。

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