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3. 原稿から印刷までの苦闘

3.4 書式制御の種類


3.4.7 日本語の構文方法が原因となる文体

 日本語の文章の文法的構造は、英語また中国語のSVO順「主語(subject)・述語(verb)・目的語(object)とは異なり、動詞が文末にくるSOV順です。この方式は、動詞が文末に現れるまで肯定も否定も含めて文意が読者に分かりません。また、動詞が省かれることもあって、読者の連想を誘う体言止めにすることが見られます。その代表的な省略作文は俳句です。短歌の方は、幾らかましです。上の句を受ける下の句で文意を完成させます。俳句は下の句なしの構成です。名詞だけを並べるだけで、文意を持たせることもします。動詞は連体形で使うと名詞の形容詞になります。動詞が文末に来ない構文は、英語で言えば関係代名詞の使い方です。このこともあって、日本語を英訳するとき、文意に合わせて適切な英語の動詞を追加することを考えなければなりません。短歌または俳句の文集は、段落の考え方を使いません。詩歌は、インデントの文字数を変えた行単位の文字並びでデザインする方法が多く用いられます。西洋音楽に影響を受けて、歌集に編集するとき、段落の考え方とは異なりますが、一番・二番…のように分ける作文方法が見られるようになりました。

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