文字の図形としてのデザインを、日本語では書体と言います。英語のフォント(font)の方が用語として普通に使われるようになりました。日本語の活字は、デザイン種類の呼び方として明朝体とゴシック体の二種が主流です。印刷・出版関係では、それぞれに個性のある字形デザインを使っています。フォントの定義は、同じ字形デザイン、同じ活字寸法の英字・数字・記号の揃いを言います。日本の漢字活字寸法系列の呼び方には種々の区別がありましたが、現在ではポイント数(ポ)で言うようになりました。欧米の基準にしたがって、1インチを72ポイントとして計算します。メートル系に基づく単位(写真植字での級が一例)を使うのが筋だと文句を付ける人もいますが、呼び数として使うと考えれば抵抗がないでしょう。標準に使う活字寸法は、読み易さを考えて、9〜12ポイントで統一します。漢字の場合、この寸法を、その印刷物の全角とし、その倍(倍角)または1/2(半角)の寸法活字を、目的に応じて組み合わせます。印刷物は、ある用紙寸法の平面領域を活字で埋めます。標準寸法(全角)で埋めるように設計します。文字の横幅は、隙間を少し空けるように活字の寸法よりも幾らか小さくなるようにします。英字は見掛けの幅に広い・狭いがあります。等幅フォントと対照的に、字形に合わせて活字幅を変化させるものをプロポーショナルフォント(proportional font)と言います。タイプライタは等幅フォントで印字機構を設計しました。この仕様はコンピュータのプリンタでも踏襲されてきました。パソコンのOSがグラフィックス文字を採用したモニタに替わり、さらに、レーザープリンタやインクジェットプリンタが開発されたことで、プロポーショナルフォントも利用できるようになりました。 |