目次ページ   前ページ   次ページ

3. 原稿から印刷までの苦闘

3.2 タイプライタ利用の一時代


3.2.4 タイピングには技能が必要であること

 英文タイプライタを使いこなすには、自己流よりも、基本的な知識の勉強と正しい技能の練習をします。技能については、blind touch typing(ブラインドタッチタイピング)が必須です。原稿だけを見ながら作業します。清書をタイプするとき、ミスタイピングしない注意力の集中とタイピング速度を高めることとの両立は、きついものです。手動の英文タイプライタは、指使いのときストロークの強弱を一定にできないと、文字並びに濃淡のムラが出ます。コンマやピリオドはやや力を弱めないと用紙に穴を空けてしまいます。電動タイプライタは、ストロークの強弱を気にしなくても済む利点で好まれました。それでも、ミスタイピングの恐怖はあります。これを革命的に解決したのは、マイクロコンピュータを利用した単純なテキストエディタの出現でした。欧米の女性秘書は、タイピングも重要な仕事ですので、ボスにその購入をせがみました。もし聞き入れてもらえなければ、ストライキも辞さない雰囲気だったそうです。

前ページ   次ページ