目次ページ 前ページ 次ページ |
3. 原稿から印刷までの苦闘 |
3.2 タイプライタ利用の一時代 |
3.2.2 邦文タイプライタの栄枯盛衰 |
手動で操作する邦文タイプライタ(和文タイプ)は、杉本京太によって1915年に発明され、ワードプロセッサが登場する1970年代以前までの長い間利用されてきました。この機械は、縦書きにも横書きにも対応できて、手書きによる謄写版の利用とも並行して、事務用品としての地位を築きました。 文字に活字を使う書類作成ですので、書体が揃い、公共機関や企業が配布する書類の作成に必須の装置でした。しかし、欧文のタイプライタが欧米の家庭にも普及していて、現在でも利用されていることに比べると、高価ですし、操作に専門的な技能が必要な特殊な装置でした。電動化も考えられましたが、こちらは印刷が目的ではなく、新聞社や印刷会社で紙テープに文字データを書き出す装置(漢字テレタイプライタ;通称で漢テレ)として開発されました。新聞社では、この紙テープを入力して文字並びの活字を出力する自動活字鋳造機が使われ、印刷会社では写真植字の制御に利用していました。 |
前ページ 次ページ |