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3. 原稿から印刷までの苦闘

3.1 作文の教育


3.1.4 小部数の印刷に苦労する

 学校の先生は、教科書以外に、生徒一人一人に渡すプリントの作成に手間を取られます。こちらは、或る程度まとまった数のコピーを作成しますので、上のCCとは作成方法が別です。これが小部数の印刷です。印刷仕上がりの量と質は、専門家が扱う活版印刷に劣りますが、経済性の方を採ります。電子的な複写機が無かった頃、謄写版、俗称でがり版が広く用いられました。蝋引きの原紙に鉄筆で文字を書き、印刷用インキにまみれた作業をしました。ページ数が多くなるときは、街中の軽印刷屋さんに頼んで、原紙のタイプ打ちから印刷・製本までしてもらいました。この作業全体は専門的ですので、一般の人が知らなくても済みました。つまり、原稿用紙に手書きで文字を並べることが作文であって、書式や体裁を気にしなくても、印刷屋さんの方で直してもくれました。

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