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3. 原稿から印刷までの苦闘

3.1 作文の教育


3.1.3 書式を殆んど教えなかった

 社会生活で必要になる作文技術の代表は、手紙の書き方です。社会人になるときの履歴書や、役所に出すときの申請書などもそうです。現在では、あらかじめ書式が印刷してあって必要な個所だけに書き込めばよいように、窓口で準備してくれますが、以前はすべて本人の手書きでした。この書式が異なると受け付けてくれませんので、それを代行してくれる代書屋の世話になりました。義務教育段階での作文は、このような書式のことを教えません。最低限として、表題と名前を書かせる程度です。大学生になっても、手書きで手紙を書いた経験の無い人が増えました。個人が発信する手紙は、私文書です。手書きが普通です。企業の顔を持って発信に使う手紙や書類のことを、英語ではbusiness letterと言います。日本語では実用文書または公用文書と当てます。私文書と異なるのは、相手に渡す本文の他に、1〜2部の控え(コピー)を作ります。日本の書類では、以前、カーボン紙を挟んで、鉄筆を使いました。電子メールの書式でCCとあるのは、Carbon Copyを引き継いだ用語です。

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