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2. 数学と算術との対立

2.6 プログラムの文書管理


2.6.1 ビジネス指向言語

 COBOLは、Common Business Oriented Languageを詰めた頭字語から命名されたコンピュータのプログラミング言語です。この歴史は1960年に始まり、何度もバージョンの改訂がありましたが、現在でも現役の言語です。元の英語は、日本語で言えば「ビジネス指向言語」です。この言語の特徴を言うとき、English-like Structured Languageと説明があります。つまり、自然言語の英語に近い記述になるように設計されていて、そのまま印刷しても、読み易い章構成(division分割)のレポートになります。そのため、コンピュータの専門教育を受けていない事務系の職員や、管理者であっても、処理の中身が分かります。役所ではこのプログラム文を公文書として管理することができます。理工系の技術者や研究者は、数値計算向けのFORTRANを使うことが多いのです。その理由は、数式をそのまま解読する言語仕様ですので、冗長性を省き、計算の能率を高める使い方を好むためです。専門分野が広いことも理由ですが、結果として、プログラミングコートの中身が第三者に分かり難く、文書管理に向きません。この欠点を補う主な提案が二つあります。一つは、出来るだけ丁寧なコメント文を記入するようにプログラマに義務づけること、二つ目は構造化プログラミングの提案です。正確に言うと「English-like Structureを意識しろと」言う意味です。ここで、英語のstructureを、建築構造のような意義に誤解しますが、じつは構文の意味です。この二つ、どちらも、習慣として定着していません。これらも、技術の空洞化をもたらしている原因です。

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