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2. 数学と算術との対立

2.5 実用計算の進め方の歴史


2.5.8 BASIC言語と表計算ソフトの進化

 BASIC言語は、初心者にコンピュータのプログラミングを教えるツールを意識して1960年代半ばに提案されました。日本では、1979年に発売された8ビットのマイクロコンピュータに搭載されたことで一挙に普及し、其の後、16ビットパソコン時代の主役言語になりました。パソコンが高機能化すると共に、この言語も高級プログラミング言語の性格を持たせる努力もされました。しかし、機能的な不完全さがあるため、パソコンの基本ソフトから外されました。その代わりに表計算ソフト(spreadsheet program)、代表的にはEXCELが、BASICで使われた数学関数や文字処理関数を含め、ビジネス計算の関数を追加して、多目的に利用できるソフトに成長しました。BASIC流のプログラムの書き方は分かり易いので、VBA(Visual Basic for Applications)の名称で、小単位の組み込み関数(マクロ)のコーディングに使われるようになりました。ただし、これには単純なBASIC言語を常識として弁えておく必要があります。

 コラム6: いろは順と50音順
[解説]  多くの項目の集合が有って、それらを整理して、或る代表的な項目を見出しに使い、関連した項目を判り易く並べ直す文字並びを、箇条書き、英語ではリスト(list)と言います。ワープロを使うとき、箇条書きの書式メニューを使うことができます。これには2種類があって、番号付きと、番号なしがあります。この全体を表に編集する機能は、罫線のメニューにあります。MS-EXCELは最初から表に作成することを目的としたソフトウエアです。例えば、名簿を作成するときに応用するときは、名前の読み順が視覚的にも判り易い50音表を使います。昭和の始め頃までは、リスト形式の項目は「いろは順」で並べることが普通でした。これを反映するように、西洋音楽を日本に普及させるとき、音階の区別を、イ短調、変ロ長調、ハ長調、などと当てました。英語ではA〜Gが使われます。なお、庶民が楽しめる簡単なハーモニカは、半音が出せないハ長調だけを使う楽器です。その音譜は、ド・レ・ミ…の代わりに、番号数字1・2・3…で書いてあります。一方、辞書類の編集でも「いろは順」が使われていましたが、項目を並べ換えや、追加のとき、読みの文字位置を探すことが不便でした。大槻文彦の言海(縮刷版、明治37年、1904)は、50音順で編集されています。当時の習慣を尊重するため、「いろは順」の索引も添付されています。表並びに、便宜的な整数を当てることもします。このときの数の使い方が順序数です。文字並びで書いてある整数は、3種類の使い分けをします。第一が個数を意味し、1個、2個〜、と言うのがそうです。第二が順序数であって、1番、2番〜、と当てるのがそうです。順序を表すには他に干支を使うこともします。第3は、IT時代になって、固有名詞的な意義を持たせる使い方です。クレジットカードやキャッシュカードにつかわれているID番号(identification number)がそうです。順序数を当てるとしても、数そのものが大きくなるため、並べ替えて番号を付け直すことが簡単にはできなくなりました。

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