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2. 数学と算術との対立 |
2.5 実用計算の進め方の歴史 |
2.5.4 掛算と割算を加減算で処理したこと |
例として、地図を作成するときの数値計算を挙げましょう。地図は、図の作成の高度な応用です。このとき、測量技術と共に、計算精度を保つように桁数の多い距離や角度の数値計算が必要です。そろばんを巧みに使えば、乗徐計算は何とかなります。しかし、三角関数値は、理論を踏まえて別に計算しますので、実用的には三角関数の数表を利用しました。測量の分野では、三角関数を求め、それを乗徐計算に利用するため、三角関数値を更に常用対数で表した数表も利用しました。この数表も欧米からの輸入でした。常用対数を使う計算は、乗除の計算を加減算に変えて実行します。ここに、そろばんの出番がありました。1960年代までは、高校の数学教科書に三角関数と常用対数の表が付録に付けてあって、それを利用する計算術を教えました。乗除計算を加減算で処理するための道具が計算尺です。数値計算の精度としては3桁が限度ですが、科学技術計算では広く利用されていました。 |
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