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2. 数学と算術との対立

2.3 数の丸めを理解する


2.3.6 ベン図は境界線を閾にする

 数の集合を扱うときは、大小関係を理解するときの順序区切りに閾値を決めます。これは座標系の考え方から言えば一次元です。ベン図(John Venn,1834-1923)は、一般的な二値論理学の演算則の説明に考えられた図です。二つの論理変数A,Bは集合を表すとし、それぞれ肯定と否定の二区分があるとします。つまり、実質的には4つの変数を考えます。一つの演算(例えば論理積AND)の演算結果の組み合わせは、4種類考えられます。これらを、境界線で区切られた4つの区分地図のように図示する方法がベン図です。算術演算の種類は、四則演算、つまり、加減乗除の4種類しかありません。論理演算には16種類もありますので、論理演算則全体を分かり易く理解する方法としてベン図が提案されました。なお、演算の規則を文字並びで説明するとき、演算子記号を挟んで、例えば算術演算の加法は(A+B)と書きます。演算順序の組み合わせを区別すると、全部で8通りの演算子記号が必要です。しかし、例えば加法では、変数の書き順を逆にした(B+A)は(A+B)の二通りですが、同じ結果になりますので一種類で済ませます。これを加法の演算子(+)は対称な演算子であると言います。しかし、減法(−)と除法(/)とは、非対称の演算子です。そこで、演算子を一種類に限定して、変数の書き順の方を変えるように約束したのです。一方、論路演算では演算種類が16種類もあります。対称と非対称とが半々です。したがって、演算子記号は、向きを考えて、例えば内含(implication)には(⊂と⊃)が使われています。なお、論理用語などの解説は、下記のURLを参考にして下さい。

 易しくない論理学 (http://www.nakanihon.co.jp/gijyutsu/Shimada/easylogic/index.html)
 実用文書のまとめ方 (http://www.nakanihon.co.jp/gijyutsu/Shimada/bunsyo/top.html)

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