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2. 数学と算術との対立

2.3 数の丸めを理解する


2.3.4 閾値の扱いは二分法と三分法の例

 複数の事象の性質を区分する考え方に、二分法三分法があります。四分法以上は三分法の拡張で扱います。三分法の例は、「大・中・小」、「上・中・下」の区分そうです。二分法は「中」を使いません。三分法以上では、便宜的に二つの区分を一つにまとめて二分法で判断に使うこともします。数の集合では、記号で(>、=、<)を使うのが三分法です。(≧、≦)を追加するのは、二分法を使うときです。前項の閾値の扱いで説明すると、閾値に或る区間幅を持たせると三分法になり、幅を考えないと二分法です。一般的な文章で説明するとき、論理学を踏まえた言葉使いがあります。二分法は、対象を、例えばA,Bの二つの選択肢に分けるのですが、AとBとは互いに排斥し合うように約束します。前項の整数の集合で言えば、正と負だけの区分を扱い、0を含ませません。三分法は0の領域も考えますが、第1.3節で触れたように0を理解することは一般の習慣には無かったのです。つまり、二分法が最も分かり易いので、社会生活での約束事に見られます。日本では、三分法も多く使われています。典型的な選択肢の決定法にはじゃんけんがあって、「勝ち・負け」と共に「あいこ」が使われます。具体的には、例えば勝負事には「引き分け」も使います。欧米風の規則では、勝負の決着を双方ともに二分法にこだわりますので、決着が付くまでのデスマッチが行われます。勝った側は相手を見下し、負けた側は遺恨を持つことも多く、結果的に仲直りができない不幸な関係が続きます。「昨日の敵は今日の友」の言い方は、日露戦争の後で作詞された歌詞にあったのですが、世界的にみて、紛争解決の手段としては殆ど使われなくなっています。

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