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2. 数学と算術との対立 |
2.3 数の丸めを理解する |
2.3.3 閾値を理解する |
難しい漢字を使いますが、しきいち(敷居値)と読みます。英語はthresholdです。日本住宅では部屋の境に普通に見かける構造ですが、英語では鴨居の意義もあります。敷居は、幅の無い境界線ではなく、ある寸法幅を持つことに注意します。この用語は、代数的な方法を応用する座標幾何学で見られるようになりました。原理を言えば、幾何学的な2点間の距離が、閾値よりも小さければ、実質的に同じ点と見なす実用的な判断に使います。数値計算では、丸めの処理に現れます。丸められた数値は、最後の桁に±0.5の誤差を含みます。これは、最後の桁位置で、幅1の閾値を考えることです。実用的に最も良く使われる丸めは、小数を含む実数を整数に丸めるときです。これを図2.1で説明します。 図2.1 実数を整数化するときの敷居値の位置 ![]() この図の最上段は、実数の大小を表す一次元の直線座標を表しています。整数位置に目盛を付けてありますが、中間の0.5にも補助目盛を付けてあります。整数に丸めると、同じ整数になる実数座標の範囲が、丸めの約束によって異なります。例えば整数の1を表す実数の座標範囲が異なることを見て下さい。一見して分かるように、四捨五入では、閾値の幅がすべて同じであるのに対して、切り捨ては0の幅が2倍に、切り上げは0の区間がありません。 |
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