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2. 数学と算術との対立

2.2 算術計算の見直し


2.2.1 読み・書き・算盤

 庶民レベルの実践的な基礎教養は、俗に「読み・書き・算盤(そろばん)」と言います。同じことが英語にもあって、reading, writing, arithmeticです。これらを三つのR (three R's)と言い、子供に覚えさせる基礎的教育のことです。上の単語を声に出して言うと、Rの音が三つ並ぶことから慣用されています。算盤は、計算の比喩的な表現です。小学校の教科では、算数ですが、昔は算術と言いました。現代風に言えば技術です。したがって、中身は道具・技法・技能があります。道具を算盤で代表させて言いました。ここで、計算道具に人の指を使うこともあることに、改めて注目する必要があります。アラビア数字の0〜9を英語でdigitと言います。本来、指で数えて計算したからです。単純な計算ならば、指を使わないで、暗算ができるような技能を身に付けるように、教育課程の工夫があります。道具であるそろばん、さらにはパソコンを使いこなすには、かなりの練習(技法と技能)が必要です。ところが、中学・高校と進むと、学科名が数学となり、学問的な知識の学習に焦点が移ります。

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