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2. 数学と算術との対立 |
2.1 数を文字で表す方法 |
2.1.3 代数学は数学の代表選手であること |
代数学(algebra)は、「数」の「代わり」に文字や記号を使って数の性質や関係を研究します。代数的な方法は、数を抽象化して何かの文字記号で表しますので、どのような数であるかを無関係に扱うことができます。逆に文字記号を具象化して数の表現に直すとき、再び、様々な、面倒で世俗的な問題を考えなければなりません。例えば、代数学では、円周率をギリシャ語のπと書いて済ませます。πは無限に小数以下の桁数が並ぶ無理数ですので、何かの数値で表して計算に利用するときは、有限の桁数でしか扱うことができません。実用的に使う数は、理論的に言えば近似値です。そこで、理屈っぽい人が、小学校で円周率を3と教えるのは間違いだと文句を付けることが起こりました。では、どの数値を使うのが正しいかの問いに対して、常識として3桁の3.14を挙げる人が多いようです。しかし、実際計算に必要な場面では、全体の数値の精度を考えて、3〜7桁の数値を使い分けます。あまり知られていませんが、分数表示の22/7も便利です。このように、実用的に使う数字を俗に「呼び数:nominal number」と言います。近似値ではありません。 |
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