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2. 数学と算術との対立

2.1 数を文字で表す方法


2.1.2 数学モデルは思考上の存在である

 現代の科学技術は、理科系・文科系の区別なく、あらゆる分野で数学(mathematics)を応用しています。例えば、従来は文科系の学問とされていた論理学(logic)でも、記号論理学数学論理学とも言われます。数学を応用するときは、当面の問題を数学モデルに置き換えます。英語のmodelは、日本語に訳すと模型と当てるのですが、こちらの言い方は、例えば、模型機関車のような何かの実体を持ったものを想像します。数学モデルは、実体がなく、全く抽象化した、思考の上の産物ですので、カタカナ用語のまま使うようになりました。モデル化をするときには、それが合理的であるか否かの吟味を踏まえます。モデルを提案するときは、何がしかの前提条件を考えた仮説を立てます。一旦決めたあとは、数学論理の進め方に正誤の矛盾が生じないことが、強力な説得力を持ちます。論理の帰結が、元の事象を良く説明できれば、その仮説に使った数学モデルが実用モデルとして評価されます。この段階に来たとき、数値を媒介した判断が使われ、ここに数値計算法が実用技術として必要になります。

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