目次ページ  前ページ   次ページ

1. 日本も開発途上国であった

1.3 横書き文書の衝撃


1.3.1 数字の横書きは便利であること

図1.4 縦書きの金銭出納帳の例(明治18年頃)
 現代の日本の文書は、縦書きと横書きが混在していても違和感を持ちませんが、明治維新後の欧米文書がアルファベットとアラビア数字を使った横書きであることは、大きなカルチャーショックでした。アラビア数字は算用数字とも呼ばれ、算術計算の手順と結果を文書化するときに便利です。数を扱う表記に縦書きの漢数字を使うとしても、実は、ゼロを表す漢数字が無いのです。数を文書表記するとき、位取りを示す補助の漢字「十百千万億兆…」と、単位を表す漢字を必要とします。金銭では「円銭厘」長さでは「寸尺間町里」などです。筆者の祖父は、明治時代に銀行業をしていましたが、祖父の書いた私的な金銭帖の書き方を見て下さい(図1.4)。現代の家計簿などで普通に使う横書き表記に書き直せば、ずっと実用的で、見易くなることが理解できるでしょう。

前ページ  次ページ