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1. 日本も開発途上国であった |
1.2 工業製図法の衝撃 |
1.2.3 文字が読めなくても図面は理解できる |
明治以降、欧米技術、とりわけアメリカに学んだとき、橋梁や建物の工業設計図は、文字の説明が分からなくても、日本の大工さんや鍛冶屋さんのような職人に容易に理解ができました。その理由の一つは、長さの単位が、尺と殆んど同じフィートであったことです。6尺(1間)は、一つの実用的な長さの単位です。このことを反映して、構造設計図の縮尺を選ぶとき、(1:30)、(1:60)なども多く使われていました。メートル法の採用は、国際的な標準化の動きを先取りしたのですが、その普及は簡単ではありませんでした。と言うのも、メートル法は、フランス・ドイツを中心としたヨーロッパ主導の提案であったので、アメリカ・イギリスでは現在に至るまで、実用単位の扱いをしていません。工業製図の投影法の基準も、ヨーロッパ圏では第一角法を採用しているのに対して、日本とアメリカは第三角法を採用していて、国際標準としてのISOでも合意には至っていません。 |
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