冬の寒さが厳しい欧米諸国は、冬に備えて物を保存する生活習慣が普通にあって、重要なものを安全に保存することに、多くの努力や工夫があり、整理にも執念のような感じを受けます。図書館もその一つです。公的・私的な博物館(museum)も多く見られます。世界的には時の権力者や為政者が建設した宝物殿が博物館になっているのを多く見ます。日本の奈良の正倉院は、特に歴史の古いものです。これらの建物は、現代的には、箱モノの建設に政治家が執着することに見られます。日本の建築習慣では、蔵を別に建てる発想は、庶民レベルにはありません。一般的な公共建築物、例えば小・中・高・大と続く学校建物、官公庁の建物の設計でも、倉庫の空間を別に設けることの意識が有りません。保存空間を別にしないと、身近に物を置かなくてはなりません。日本の事務所などの労働環境では、書棚やロッカーと同居した、整理の悪さを気にしません。保存空間があっても、中身に何を入れるかについての明確な目的意識もありません。中身の収集品は、欧米の博物館では、国家的な略奪品も少なくありません。私的な骨董品の収集では、模造品の制作や、盗難などの犯罪も起こります。これらの収集品の価値は、主観に左右されます。一方、遊牧生活では、定住的な保存設備を持つことは少なく、また温帯から熱帯にかけての温暖な地域では、保存施設を考えなくても、生命や生活が危険になると恐れる切迫感が育ちません。寒冷と貧困の環境では、第一次産業が狩猟などの収奪産業です。 |