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12. 三次元的に扱う弾性問題

12.1 経験で得られた知識


12.1.3 円柱座標で扱う問題は二次元的な解析になる

 構造物は、基本的に立体的です。その数学モデルを、大きく分けて、微分方程式を使う連続体として扱う場合と、隙間が多く取れる骨組みで扱う場合とで区別します。材料力学の課題は、連続体としての見方の方に焦点を置き、構造力学は、骨組みの解析を主としている、と分けることができます。この分け方は、解析に使う理論モデルを組み立てるときの便宜的な分類です。FEMは、連続体を骨組みモデルに置き換えます。柱・梁・板は、立体構造物を部材の集合に分けて、解析的に扱い易くする分類です。前章の第11.3節は、この分類に含まれない、微分方程式を使う二次元の連続体を扱う場合です。例として、図11.1を示しました。改めて三次元弾性体の問題として見ると、次のような課題に相当します。図11.bは、解析モデルとして、紙面に垂直な線状の荷重が作用していることを示したのでですが、広い平面状の地盤に集中荷重が作用するときの問題として見て下さい(第6章、図6.7参照)。三次元的に扱うとき、円柱座標で扱うと、二次元弾性体と相似の扱いができます。図11.aは、図11.bの向きを90度回転させて、地盤の或る深さのところに球状の空間があるときの解析問題と見ることができます。上に載るかぶりの厚さによって、球内面に引張応力場がでます。図11.1cは、ヘルツの球面接触に対応します(第6章、6.4.4、表6.6参照)。これらの解析では球座標を使うのが便利です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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