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12. 三次元的に扱う弾性問題

12.1 経験で得られた知識


12.1.2 土嚢と蛇篭

 砂利・砂・土は、引張強度には抵抗できない材料です。しかし、内部摩擦を利かせる圧縮場では、大きな力の伝達材として使うことができます。その方法の一例が、土嚢です。吉田徳次郎の有名な話があります。アメリカのイリノイ大学のタルボット研究室に留学していたとき、教授から、紙袋に砂を詰めたらどれだけの圧縮強度がでるか、の宿題が課せられました。色々と理論を考えた末、分からないと返答しました。これに対して教授が、どうして実験をして調べなかったのかと、叱責されたそうです。これが、吉田徳次郎の、その後の研究態度を決定付けた大きな理由だそうです。また、河川の護岸工事には、細長い竹篭を組んで、それに大きめの玉石などを詰めた蛇篭(じゃかご)を使うことがあります。篭を組む職人がいなくなり、また近代的な工法とも思わなくなったのですが、竹以外の材料を使う例があって、現在でも評価されている、自然に優しい工事方法です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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