目次ページ  前ページ 次ページ

11. 数理弾性学

11.4 薄板の曲げ変形


11.4.2 直交異方性板モデル

 構造物の設計では、通路に使う床版 (floor slab)を、マクロに見て、均質な弾性板にモデル化して断面の応力度の検証をします。漢字の使い方としては、板(plate)は力学用語、版(スラブ、slab)は構造材の意義で使い分けをします。細かく見れば、厚みを抑えて版の材料を節約し、縦横に補剛する桁材または肋材(リブ)を使うことがあります。この全体を均質な板と置く数学モデルを直交異方性板(orthotropic plate)と言います。補剛に使う桁の剛性が大きい場合には、解析の主体を骨組み構造、または格子構造として解析します。これらは、構造力学の方で扱います。等厚の鉄筋コンクリートスラブは、縦横に鉄筋を入れますが、普通の設計モデルでは直交異方性を考えません。ただし、鉄筋量の計算には、縦横2方向で、力学的に独立したスラブが合わさったと考える二方向スラブの仮定が使われます。縦横で曲げ剛性が異なるモデルは、縦横の座標軸の尺度を変えることで数学的には等方性板モデルの解を利用することができます。直交異方性板の数学モデルは下の形です。
   
 細かいことを言えば、捩じりモーメントはMXYとMYXとは等しくありませんし、捻じれ剛性も縦横二方向で同じではありません。式(11.21)は、適合条件に当たります。直交異方性板を設計に応用する方法については、実用的な数値計算技術と関連した研究があります。これには、「標準的な橋の設計計算書を作成するエクセルSoft」のシリーズで詳述してあります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

前ページ 次ページ