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11. 数理弾性学

11.4 薄板の曲げ変形


11.4.1 板の曲げは二次元弾性と同質であること

図 11.3 板の曲げ

 三次元的に扱う弾性体の問題の一つに、薄板の曲げがあります (図11.3)。この力学モデルは、板の厚み方向を薄く切り出して考えると、二次元弾性モデルを積み重ねた応力状態になっていることが分かります。板の曲げを扱う数学モデルは下の式です。
   
 これらの式の形は、二次元弾性体の式と比較してみると、相似になっている部分と、微妙に異なっている部分とがあります。まず、式(11.14)と式(11.8b)とが対応した関係になっています。つまり、式(11.14)は、板の曲げを扱うときの弾性条件であることが分かります。式(11.15)は、式(11.5)と対応した釣合条件です。二次元弾性体の場合には物体力がありませんが、板の曲げでは板面に垂直な荷重分を考えた式になっています。式(11.16)は、→φと置くと左辺の式の形がエアリーの応力関数と同じです。つまり、釣合条件式です。ところが、式(11.6)のσ,σの偏微分式を見ると、xとyの使い方が逆ではないかと疑問に思う逆順の表現になっています。最後に、式(11.16)の形は、グリーン関数の母関数、式(11.2)に対応している表現です。式(11.16)の変形の解は、座標の表現が二次元になっていますが、式(11.1)のグリーン関数の意義を持つ式です。具体的にを求めるときは、板の境界条件を必要とします。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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