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11. 数理弾性学

11.3 二次元弾性体の解析


11.3.2釣合条件の整理に応力関数が使われる

 弾性体の解析では四つの条件を考えることを前節の始めに紹介しました。梁やトラスの解析をするときは、注目点として任意の一次元の座標位置に外力が作用することを扱います。その外力には、自重も含めます。二次元弾性体の解析では、注目点が二次元で表す座標(x,y)です。外力の作用は、すべて境界条件の方に含め、弾性体の内部で作用することをしないことに注意します。図11.1で、このことを確認して下さい。弾性体内部で材料の重量を扱う必要があるときは、これを物体力とします。弾性学の参考書では釣合条件式の中に含めた式で紹介されていますが、実用的な意義はほとんど無いと言ってよいでしょう。二次元の連続体は、構造力学的に見れば、巨大な不静定構造物の性格がありますので、トラスの格点のような有限個数の座標点での釣合式とは異なり、微分レベルでの単位正方形を考えて、力の釣合を扱います。
   
 この基本式を、エアリー (G.B.Airy,1801-1892)は、応力関数φ(stress function)を使う形に整理しました。
   
 応力関数φが、代数的にどのような形で表現され、また、その力学的な意味をどう解釈するかについては、この式の範囲ではよく分かりません。つまり、後で説明する境界条件を考えなければ、この式だけからは、二次元弾性体の正確な解は求まりませんが、近似的な応力度分布を求めるときに使うことができます。とは言え、数学的な道具として、式(11.7)の形の美しさが好まれています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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