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10. 衝撃・振動・疲労

10.5 疲労実験データの整理


10.5.1 荷重の大きさと振幅

 実験室レベルで行う材料の疲労試験は、或る一定の応力度振幅になるように制御できる疲労試験機を使って繰り返しの載荷をして、破壊するまでの回数を横軸にした座標にプロットします。設定した応力度を、その回数での疲労強度とします。応力度の大きさを変えた複数の実験データをグラフにしたものをSN線図(stress number diagram)またはヴェーラー図と言います(図10.4)。最大・最小応力度の比を一定にしておいて、大きい方の応力度がパラメータです。ヴェーラーが発見したことは、鋼材ならば、100万回程度までの繰り返し回数が一つの限界を与え、それより回数を増やしても破壊しません。この限界を疲労限と言います。ただし、現在は、もっと大きな繰り返し回数まで実験する必要があります。疲労限は、設定する最大応力度と応力度振幅によって変ります。回転曲げ疲労試験は、曲げモーメントによる縁応力度が正負交番しますので両振れ強度を与えます。0と或る応力度の間での疲労強度を片振れ強度としますが、両振れ強度よりも大きく出ます。これら二種類の強度は、同じ実験状態と同じ応力度分布に制御した状態では得られませんので、直接比較に使うことは問題ですが、定性的には納得できるデータとして利用しています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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