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10. 衝撃・振動・疲労

10.4 疲労試験の難しさ


10.4.1 疲労の現れ方

 単純に疲労と言うときは、人間を含め、動物が運動を持続する機能が低くなることを言います。和語で言う「疲れる・くたびれる」です。病気ではありませんので、疲労の回復があって、再び運動を始めることができます。材料の疲労(fatigue)も、この類推で言います。繰り返して力を受ける使い方は、機械部品の運動と見なすのですが、くたびれ方は外見では分かりません。或る回数の繰り返しで力を増減させると、亀裂や破断などの欠陥が現れることを疲労破壊と言います。材料の疲労は、動物のような自己回復機能がありませんので、新しい材料と取り替えます。構造物では亀裂の進行を抑える延命の工夫も試みられています。疲労による破壊は、変形が大きくなるような兆候が現れる間もなく、突然起こる脆性破壊の様相を示します。このことが材料の使い方を神経質に計画しなければならない理由です。航空機などの機械部品は、或る一定の使用期間が済めば、外見的に未だ健全であっても、新しい部品と取り替える規則を決めます。一定の期間をどのように決めるかは、疲労試験のデータを参考にします。そこで、どのように疲労試験をし、それをどう評価し、どう実用に載せるか、の技術が問題になります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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