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9. 材料の破壊と部材の破壊

9.3 梁の塑性設計


9.3.5 荷重を戻したときの残留変形と残留応力

図 9.9 塑性的な曲げによる残留応力度
 いま、図 9.8の思考実験で、途中で載荷を中止して荷重を0に戻したら、どのような結果になるかを考えてみます。(b)の状態までならば、梁の変形は元に戻り、断面の応力度分布も0です。梁の曲げ変形では、断面が平面保持されていると仮定できます。(c)の状態では、断面の上下縁は、塑性変形によって追加の歪みが三角形状の分布で追加されています。この状態から荷重を抜き、また加えていくと、断面の曲げ応力度の分布は、弾性範囲の曲げ応力状態(a)が符号を変えて作用する弾性変形を示します。これを図9.8の点線の軌跡で示しました。荷重を0に戻したとき、曲げ変形は0には戻りません。断面の高さ方向の応力度分布は、図9.9のように残ります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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