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9. 材料の破壊と部材の破壊

9.3 梁の塑性設計


9.3.2 破壊させるときの判断に使う曲げモーメント

 梁部材の設計は、弾性範囲内で使う最大曲げモーメントの大きさと、材料の応力度が塑性域まで達したときの最大曲げモーメントの二つを勘案します。通常の使用状態では、材料の応力度が弾性範囲内にあるようにし、それに対して安全率を決めます。材料の応力度が降服点を超えるような条件は非常に特殊な場合ですが、最大、どの程度まで耐えるかの計算をし、これに対しても安全率を考えます。土木構造物の場合、前者と後者の安全率は、2と3にするのが常識です。経済的な設計を計画すると、この安全率を値切ります。この判断はかなり生臭いものです。材料力学の課題は、最大曲げモーメントの大きさの計算方法にあって、その出発に使われる力学モデルは、図9.3に示す、単純化した応力度・歪み曲線です。鋼材は、塑性的な性質があることと、引張と圧縮とは対称な性質を仮定できます。コンクリートのような脆性材料では、引張強度が低いので、圧縮応力度が未だ充分に弾性範囲にあっても、引張側に亀裂が入ると、断面の効率が下がります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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