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9. 材料の破壊と部材の破壊

9.2 破壊の力学モデル


9.2.5 モール円の集合で表す破壊モデル

 自然の地形を構成する岩盤の構成材料である岩石は、マクロに見れば、弾性材料の性質を持ちます。地下深くにあれば、全体が深海での水圧のように周りから大きな圧縮応力を受けて体積が幾らか小さくなります。しかし、破壊はしません。地上に現れても、眼に見えるほどの体積膨張をしませんが、幾らかは膨張することは知られています。トンネル工事をすると、トンネル切羽(きりは)面の岩石は自由表面になって、その面に作用していた圧縮応力が0になります。そのため、表面岩石が貝殻状に破壊してはね出ることがあります。これを山はねと言います。三次元的に連続した構造であっても、構造物の表面は応力度が0ですので、表面から或る厚さの個所までは、二次元の応力場です。部材の形状は様々ですし、破壊時の応力状態も多様です。そのため、破壊が生じたときの二次元応力状態のモール円を幾つも描いて、モール円の包絡線を破壊条件の力学モデルにします。材料の応力度の状態(σ、τ)が理論的に推定できて、このプロット位置が包絡線の内側にあれば破壊しないとします。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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