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9. 材料の破壊と部材の破壊

9.1 材料試験の計画と結果の見方


9.1.11 クリープとリラクゼイション

 塑性は、或る力以上になると、見掛け上の流動性を示す性質を言います。個体と流体との中間状態を扱う材料科学一般にレオロジー(rheology)があります。水飴が典型的な例として一般的な説明に使われます。これには温度や時間的な要素も考えます。或る状態では固体の性質が勝ち、時間軸を長く取ると流体の性質が見られます。材料力学と関連する性質は、クリープ(creep)と応力緩和リラクゼイション:relaxation)を扱います。力学的な定義を言うと、クリープは一定の応力が作用していると変形が時間と共に増加すること、リラクゼイションは変形を一定に拘束しておくと応力の大きさが下がることです。実際にはこの現象が混在して現れます。主としてコンクリート構造物の施工で考えます。流体とは違いますので、或る日数が経過すれば止まります。実験技術としては、時間との勝負です。設計計算上の扱いは、換算のヤング率(reduced elastic modulus)が下がる、とするのが便利です。この計算例題は第5章で扱いました。金属材料ではクリープとリラクゼイションを直接扱うことは多くありません。材料を寝かせておくと異常な変形が進むことがありますが、この現象の原因説明に使われます。局部応力度の応力緩和には、全体の温度を上げる焼き鈍し法が経験的に応用されています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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