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9. 材料の破壊と部材の破壊

9.1 材料試験の計画と結果の見方


9.1.2 吉田徳次郎について

図9.1 吉田徳次郎(1888-1960)
 日本のコンクリート工学の基礎を築いた学者の一人は、吉田徳次郎です。アメリカに学び、徹底して実験研究を貫きました、この研究態度に対して、一部の欧米崇拝の学者は、理論が無いと言って軽蔑しましたが、実際の現場技術者からは、圧倒的な信頼と尊敬が寄せられていました。コンクリートの強度は、打ちこみから24時間、三日、七日、一か月、三カ月、一年のような長期間の区切りで経過を測定します。多くの試験体を扱うとなると、強度試験をする日が土・日・祭日と重なります。結果的に、一年中、実験に明け暮れることになります。現代の労働環境で、週5日制の作業条件を守るように制限すれば、このような実験研究の日取りを計画することが、建前上、不可能になってしまいました。
(写真解説: 1954年頃、岐阜市長良川橋架設現場での撮影、撮影者不詳)
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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