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8. 剪断応力度に関する特殊な問題

8.3 棒の捩じれ


8.3.4 円断面以外は反りが出る

図8.11 薄肉のパイプ構造
 パイプ状の薄板部材(薄肉部材)を、軸方向の一つの稜線にそって切り開いた展開図を考えて下さい。最初、その展開図は、全体として矩形です。トルクを受けると、薄板各部は、剪断応力度によって平行四辺形に変形し、その角度がγとなります。展開図にすると、図8.11のように、縦の稜線は平行ですが、上下の断面線は曲線(図8.11では折れ線)を描きます。これは板厚が異なる場所では、剪断応力度τが異なるためです。そうすると、元のパイプ断面の図形で見ると、軸方向に変位、つまり、反りが出ます。パイプ断面の捩じれは、周回する薄板の、剪断変形分の歪みを速度とする運動量の、回転中心に関する能率(モーメント)の総和で求めます。これから、パイプ断面の捩じれの二次モーメントが得られます。は板厚です。
  

図8.12 開いた断面の捩じれによる反り
 一方、図8.12にみるようなH断面は、開いた断面と言います。こちらは、剪断応力度による反りではなく、リボンのような薄板が螺旋を描くことによる幾何学的な反りです。薄板は長さの長い矩形断面です。その単純捩じれの定数は
  
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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