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6. 部材断面内の不静定問題

6.4 二次元弾性体の解析問題


6.4.2 地盤の支持問題

図6.7 土質力学で扱う圧力球根

 軟らかな地盤に重量の大きな構造物を載せる場合、土質力学で、半無限の弾性体に等分布荷重が作用するモデルを扱います(図6.7)。数学的に扱うとき、錐の先のような集中荷重の直下は特異点です。分布荷重の場合も、荷重の縁が特異点になります。実際現象として、荷重の作用は、接触面に局部的な凹みや押し抜き剪断破壊を起こすことがあります。支圧の作用面の面積を大きくして実効の支圧応力を下げるために、幾つかの工夫があります。砂利や砂は、ピラミッドのように傾斜を持った角度で積み上げることができます。弾性的な性質はありませんが、見方を変えると、上に載る荷重を広げて下に分布させて力を伝えています。鉄道の砂利道床は、大きな集中荷重を広い面積に分布させて、その下の路盤に伝えます。道路では走行性をよくするために舗装しますが、床版の構造設計では荷重分布を広くする目的があります。道路橋の鉄筋コンクリート床版に自動車のタイヤからの重量を持たせるとき、タイヤの設置幅と設置長を、舗装厚分だけ45度の角度で裾を広げた面積に分布する、等分布荷重とします。一方、地盤側では、或る深さの個所に水道管などの埋設物があるとき、深さ方向の応力度分布の見積もりが必要です。この解析では、ブーシネスク(J.V. Boussinesq, 1842-1929) の理論的研究が参照されています。これによって二つの重要な性質が分かりました。一つは、当然のことながら、深さ方向の圧縮応力度が、支圧応力度を減少させて伝わることです。二つ目は、鉛直方向と直角に引張応力度が出ることです。これは、高さの低いコンクリートの柱を圧縮すると、縦に割れることがあることの理由です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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