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6. 部材断面内の不静定問題

6.3 鉄筋コンクリート梁の計算


6.3.1 コンクリート部材の積み木モデル

図6.5 ダルマ落とし(カタログから採図)
 玩具の積み木を高さ方向に積み上げると、案外不安定な構造の柱になることに気が付きます。積み木で構成する柱は、接触面で引張力が作用しません。面の接触が不均一で、柱として鉛直性からずれる変形があると、力を伝える面が偏り、力の作用軸が接触面を外れる個所が起き、そこで倒壊が始まります。ダルマ落とし(図6.5)は、高さが低い円柱を重ねます。図6.4で見るように、核の幅が矩形断面よりも相対的に広くなっている分、ズレの許容が大きくなります。面の繋ぎに、曲げに抵抗できるようにするには、別の材料を挟んで引張力が発生する個所を補強するアイディアを使います。そうすると、積み木では玩具の使い方ができなくなります。鉄筋コンクリートの梁も、考え方の基本は同じです。コンクリートは、幾らかの引張強さを持ちますので、鉄筋を使わなくても、梁として使える曲げモーメントの範囲があります。積み木を積み上げるような状態を想定して、引張に抵抗する材料に鉄筋を使うことが、鉄筋コンクリート梁の計算の考え方です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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