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6. 部材断面内の不静定問題

6.1 組み合わせ部材


6.1.1 複合材料の用語がある

 コンクリートは、接着剤の機能で使うセメントペーストに、砂利と砂とを混ぜた複合材料の性格があります。この他に、種々の混ぜ物を加えて、コンクリートの性質を改良する工夫がされます。練り混ぜのときに加える液状の物は混和剤、微細骨材の物は混和材と用語を使い分けています。コンクリートの引張り強度の改善には、短めで細い繊維状の鋼材またはガラス繊維を混ぜることも行われ、繊維補強コンクリート(fiber reinforced concrete)と言います。骨材の種類は、細骨材扱いです。航空機体程度までの寸法の構造に使う材料として、「炭素繊維強化プラスチック(Carbon-Fiber Reinforced Plastic)」があります。こちらは、比較的長さの長い炭素繊維を使います。通称で言うベニヤ板は、合板(plywood)が正式の名称です。建築材料や家具などに使われますが、力を伝える構造用材料の主材には使いません。これらは、材料としてみるとき、複合材料(composite material)と言います。多くの場合、単一材料と同じように、工場で板や線材のような標準部材として製作されます。複合材料と言うときは、強度を持たせる目的の材料と、それを結合させる接着材料で構成します。普通、接着材側の方が強度的には劣ります。材料力学の課題は、材料強度に期待する合理的な使い方の研究です。コンクリートは砂利が強度を担う主材料です。セメントペーストの方が強度的に劣るので、全体を均質な材料として扱うときの力学的な課題が材料力学の研究対象です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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