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5. 弾性的性質の数学モデル

5.3 線形弾性体として扱う柱と梁


5.3.3 圧縮材にはパイプ構造がよいこと

 柱は、圧縮力の合力が断面の重心を通るようにできれば、最も効率のよい材料の使い方ができます。しかし、偏心して作用することも普通ですので、曲げモーメントが同時に作用し、圧縮応力度の分布に偏りができ、結果的に柱の断面積を大きくしなければなりません。最も効率のよい断面形状は円形のパイプ構造です。薄い肉厚にすると、部分的に座屈変形がでますので、肉厚を最大にした極限が充実体の円断面です。構造材料としての円形の柱は、材料の加工と組み立てに不便なことが多いので、矩形を組み合わせた断面形状を採用します。正方形のパイプ断面に構成するのが実践的な構造です。形鋼には、薄板を組み合わせて種々の幾何学的形状の製品があります。この断面設計は、なるべく少ない材料(断面積)で大きな曲げ剛性を持たせるための工夫があります。綴じたパイプ断面に製作することは作業が難しいので、H形鋼が多く使われています。主に曲げ材として使うことを目的とした材料ですが、柱としても多く利用します。ただし、単独の独立柱として主構造に使うことは少なく、骨組みに組み込むように使いますので、捻じれの検討にはあまり注意が向きません。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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