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5. 弾性的性質の数学モデル

5.1 線形弾性と非線形弾性


5.1.3 材料力学では数式の適用範囲を考える

 材料に作用させる力と変形の関係は、変形の方を独立変数、力の方を従属変数とする数学モデルです。逆に考え易いので注意します。したがって、変形の大きさを無限大まで考えることもできます。材料には降服点や強度の限界がありますので、数式が意味を持つ範囲を考える必要があります。複数の範囲に別々の数式を当てることもします。コンクリート材料数式モデルは、引張側に変位を加えても応力度が出ないモデルです。材料力学は力学の応用ですので、数式を処理して得られる知見は重要です。しかし、材料固有の性質をどのように解析条件に反映させるかの判断に使うデータは、材料実物を使う実験から求めます。実験の実施は、設備を含め、費用も掛かりますので、誰でもできるとは限りません。したがって、他の研究者が行った実験データを利用させてもらうことが多くなります。理想はそうですが、主観的な色眼鏡を通した判断(仮説)で整理されているデータも多くあります。因みに、英語のdataは、known factsと説明されることがあります。これには、主観を含まないとする意義を持ちます。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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