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5. 弾性的性質の数学モデル

5.1 線形弾性と非線形弾性


5.1.2 線形式は重ね合わせの計算法が使える

 部材に、二種類の力を作用させるときの変形を、次に考えます。弾性材料であれば、線形・非線形に関わらず、作用させる力の順番を変えても、結果が同じになります。線形弾性のときは、個別に変形を計算しておいて、それを加算することができます。これを数学的には加算法または重ね合わせの方法が成り立つと言います。その応用として、単位の力を受けるときの変形を計算しておけば、任意の大きさの力が作用するときの変形が、単位の力を受けるときの変形を一定倍(スカラー倍)することで求まります。この応用が、構造物の解析で使う影響線法です。非線形弾性の部材は、この方法を使うことができません。鉄筋コンクリート部材の設計計算をするときの仮定は、「コンクリートは圧縮応力度と歪みに対して弾性的な(直線関係も曲線関係も含みます)性質があり、引張応力には抵抗しない」とします。これは、コンクリートを、圧縮と引張とを含めた全体を通した性質で見れば、非線形の弾性体とすることです。したがって、重ね合わせの方法を利用することができません。例えば、コンクリート梁に曲げモーメントと軸力が作用するときの部材内部の応力度分布を計算するとき、曲げモーメントだけが作用する場合と、軸力だけが作用する場合とを別々に計算しておいて、それを重ね合わせる方法が使えません。このことが、鉄筋コンクリートの計算を複雑にしている理由です。これは、次の第6章で例題として取り上げてあります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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